橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「セル・ポワブル」

classingkenji2006-12-20

職場の忘年会で、練馬駅の近くのフレンチ、「セル・ポワブル」へ。スープ、または、魚介類や生ハムなど盛りだくさんのサラダ、魚介類のグリル・サフランソース、子羊のグリルまたは牛ヒレステーキ、デザートというコースで、わずか三一五〇円。たいへんリーズナブルな店である。ワインはというと、赤が一〇種類、白が六種類ほど。どれも名前を聞いたことのないものばかりだが、飲んでみると、そこそこ美味しい。三〇〇〇円前後のものは侮れないおいしさ。六〇〇〇円台で、ローヌの一九八五年、ボルドーの一九八四年などという古酒を飲ませるのは驚き。
近所、または沿線の人以外は行かないと思うが、私自身は大変気に入った。この値段なら、学生のパーティーも不可能ではない。沿線の人なら、たとえば、子どもの卒業祝い、成人祝いなどに古いワインを飲ませてやるのはいかがか。普段着のフレンチとして、近所にあって欲しい店である。(2006.12.20)