「萬屋松風」
『階級社会──現代日本の格差を問う』(講談社)の打ち上げで、池袋へ。相手は講談社の編集者二人。行き先は、ちょっと久しぶりになる「萬屋松風」である。
木の引き戸を開けて店内に入り、入り口近くの席をとる。この店は、飛騨高山の民家を模して作られたとのこと。いわゆる民芸風のわざとらしさがなく、くつろげる雰囲気がいい。ビールは生がモルツで、瓶だとヱビスもある。料理は魚介類を中心に、種類が多い。まずは刺身三点盛と鱧落とし(ポン酢と梅の二種)をとり、ビールで乾杯。九月一〇日の発売からわずか半月で三刷となり、今日は文字通りの祝杯である。というわけで、客の観察はお休み。編集者たちも、今日はどれだけ飲み食いしても大丈夫と、吟醸酒や珍味を次々に注文。なかなか研究熱心な店で、酒の品揃えはときどき変わる。今日は「まんさくの花」の大吟醸が良かった。自家製だというカラスミは、純米吟醸にぴったりの相性。安い店ではないが、これだけの品揃えならもっと高い店は多い。そして、いろいろ工夫しながらも居酒屋の範疇から決して外れない節度が良い。カウンターがあるので、一人でもくつろげる。池袋の名店、一度はどうぞ。(2009.9.27訪問)
今日の日本経済新聞に、書評が載った。好意的な書評だが、誤読というか誤認が一点。貧困率とは、所得が平均所得の半分に満たない人の比率ではなく、所得の中央値の半分に満たない人の比率である。東京新聞でも、読書欄の「『格差』の本、続々」という記事で取り上げられていた。一昨日は、なんと赤旗の一面下のコラムで取り上げられている。さすがにこちらは、「著者は、労働者階級はたたかう力をもたないと考えます。そうでしょうか。」と反論付きだった。しかし、関心の高い読者が多いだろうから、読んで自分で考えてみてほしいものである。
- 作者: 橋本健二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/09
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