橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中板橋「うおづや」

classingkenji2017-05-22

なんとなく富山の魚が食べたくなった。ネットで調べてみると、最近中板橋に、魚津の魚を食べさせる店ができたらしい。というわけで、訪れたのがこの店。売店を併設していて、アンテナショップ・産直食堂と称するこの店は、中板橋商店街振興組合が運営しているという。魚津市の協力により、料理人を魚津市に半年間派遣して、本場の味を出せるようにしたとのこと。
前菜に注文したのは、「蛍烏賊と菜の花のおろし和え」(四八〇円)。まさに季節の味で見た目もよく、たいへん美味しい。刺身の盛り合わせ(一四八〇円)には、現地では「サス」と呼ぶカジキマグロの昆布締めが付く。実はこれが食べたくて、この店に来たようなものだ。美味しいので「昆布締め三種」(七八〇円)も注文した。中身は、カジキマグロ、牡蠣、蛍烏賊。平たくなってよく味が染みこんだ蛍烏賊は、絶品だった。日本酒は、北洋、玉旭、幻の瀧などが揃う。値段も、リーズナブル。また来ることにしよう。(2017.3.27)

板橋区中板橋14-11
17:00〜23:30(土日〜23:00) 無休