橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「呑禅 二号店」

classingkenji2014-05-11

どこで飲もうかと池袋を歩いていて、この店が目に入った。
同じビルの2階から上は「清瀧」で、一階と地下のこの店は、「清瀧」の廉価バージョンということらしい。
確かに、安い。エビスビールの中生が三八〇円(黒ラベルは三六〇円)、サワー類・焼酎・サワー類は二八〇円。しかし日本酒は一種類しかない。料理も二五〇円から四八〇円までがほとんど。メニューに洋風おつまみというカテゴリーがあって、マルゲリータ、小海老のガーリックオイル、砂肝のガーリックオイル、生ハムなどが並んでいる。だったら美味しいのかと思って、オードブル盛り合わせというのを注文したら、カニカマならぬ赤カマボコの細切りをマヨネーズで和えたもの、ナンコツのオイル煮と、バゲットにチーズを載せたのを盛り合わせた、妙な一皿が出て来た。おいしいはずがない。
「清瀧」そのものが、激安でまあまあうまいという居酒屋なのだから、その廉価バージョンを作ろうというのが間違っているのではないか。「清瀧」なら、日本酒も銘柄は一種類とはいえ大吟醸まであるのに、こちらは普通酒のみ。けっこう客は入っているが、長続きしないのではないだろうか。(2014.4.17)

豊島区南池袋2-27-18
16:00〜24:00 無休