橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「木々家」

classingkenji2013-02-01

今日は大学で仕事のあと、池袋へ。最近存在を知った、この店へ行くことにする。「木々家」と書いて、「はやしや」と読ませる、もつ焼きと日本酒の店である。池袋に二店あり、こちらは二号店とのこと。店内は、かなり大きい。グループ用の大きなテーブル、二人客または一人客用の長テーブルなどがあり、さまざまな用途に対応できる造りだ。
まずはテーブルにあった日本酒のメニューを眺める。田酒七九〇円、豊盃が三種類あって、純米四五〇円、純吟五九〇円。刈穂五〇〇円、伯楽星純吟五九〇円、石鎚純米五九〇円、東洋美人純米五〇〇円など。いい品揃えで値段もまあまあだと感心し、まずは伯楽星を注文して、飲みながら店内を見渡す。目に入った日本酒の黒板メニューに驚いた。仙禽・線香花火純吟五九〇円、凱陣・純米生五九〇円、大那・夏越し純吟五九〇円など、希少な酒がずらりと並んでいる。凱陣と仙禽をいただいたが、いずれも素晴らしかった。
料理はというと、メインのもつ焼きが巨大なのに驚く。よくみるとメニューに「当店の串は他店の倍はあります」と書かれていた。これで一五〇円なら、安いといえる。味は、水準をクリアしている。注目すべきは、刺身がレバ、ハラミ、タン、ハツ、チレ、コブクロ、さらに予約でミノ、シビレ、ブレンズと揃っていること。若年者、高齢者、体調不良の方はご遠慮くださいと、配慮しているのも関心だ。
会計が意外に高かったのでレシートを見ると、お通しが四〇九円だった。ゆでたブロッコリーが三かけらほどだから、これで利益を出しているのだろう。しかし日本酒の質を考えれば、高くはない。時々寄りたい店である。(2013.1.18)

豊島区西池袋3-25-2
17:00〜23:30 無休