橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「三船」

classingkenji2011-08-22

新宿のライオンでビールを飲んだあと、もう一軒行こうかと西新宿を物色していると、「男は黙ってサッポロビール」の文字が目に入ってきた。思えばサッポロビールの全盛期、このCMが流れた一九七〇年ごろ、サッポロのシェアは二〇%を超えていたはずで、隔世の感がある。
中に入ってみると、三船敏郎一色のインテリアで、壁には浪人姿の三船が鍋をつつきながら酒を飲む映画のシーンの壁画がある。メニューの最初には「男は黙ってサッポロビール」とあり、生ビール四八〇円、メガジョッキ九九〇円、ラガー中瓶五五〇円など。裏を返すと七人の侍オリジナルハイボールというのがあり、映画の登場人物七人にちなんだハイボールが七種。菊千代は紅茶ハイボール、勘兵衛はウイスキーハイボール、久蔵はジンジャーハイボールといった具合。料理はホルモンの七輪焼きがメインだが、その他にも野菜や揚げ物などいろいろあるから、七輪を避けても十分楽しめる。演出もここまで徹底すれば、楽しい気分になる。経営は東京レストランファクトリーという会社で、六本木には炭火焼きメインの高級店「料理屋三船」もあるらしい。(2011.9.29)

新宿区西新宿7-10-3 
17:00〜4:00 無休(ランチあり)