橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ガード下の魔窟

classingkenji2011-01-31

神田は、上野、新橋、新宿などと並んで、最大規模のヤミ市があった場所である。現在の飲食店街の大部分が、その範囲にある。その片鱗は、ガード下にみることができる。神田駅のガードは、山手線、京浜東北線、中央線など線路が多いため、線状ではなく面として広がっている。道路になっている場所はまだ分かりやすいが、道路ではなく単に飲食店街の並ぶ通路が何本かあり、果たしてこれが現代の日本なのかと思うほど、ヤミ市時代の雰囲気が色濃く残る。いろんな場所で飲んできた私でも、ちょっと入りづらい店もいくつかある。
今日の最後に入ったのは、この店。細い道路に面した普通の大衆酒場だ。安くて、味もまあまあ。神田ガード下のヤミ市酒場入門には、なかなかいい店だと思う。(2011.1.11)

ふじくら
千代田区鍛冶町2丁目14−1