橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2009-06-02から1日間の記事一覧

新橋ヤミ市と「女王蜂と大学の竜」(石井輝男監督・一九六〇年)

明治初期、新橋は文明開化の窓口として栄えた。東京駅ができてからは、やや目立たなくなるが、それでも銀座の延長上の盛り場として、多くの人々を集めた。 戦争が、新橋を大きく変えた。銀座はコンクリート造りの耐火建築が多く、松屋や松坂屋、和光など主だ…