橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中井「鳥香」

classingkenji2009-11-20

今日は、ふと思い立って、帰り道に中井で降りてみる。通勤で使っている地下鉄大江戸線だが、西武線に乗り換えて野方の「秋元屋」へ行こうかなどということでもない限り、ここで降りることはなかった。西武線の踏切の周辺に、少し賑やかな商店街があり、心惹かれる店も何軒かある。まず入ってみたのが、この店。
L字型カウンター七席と四人掛けテーブル二卓の小さな店を、母子かと思われる二人で切り盛りしている。焼鳥は一本一三〇円で、三五〇円均一の居酒屋料理がいろいろあり、日替わりメニューには刺身もいくつか。ビールはアサヒで、大瓶五五〇円、生六〇〇円。ホッピーは三八〇円(中二八〇円)、酎ハイ類も三八〇円。
西武線の普通の駅の普通の店。とりたてて特徴のない店だが、安心感がある。地元の人にとっては、居間のような店だろう。焼鳥も、ほっとする普通のおいしさ。紺色に「やきとり」と染め抜かれた、小さな暖簾が微笑ましい。写真はどういうわけか、撮った二枚が二枚ともピンぼけだった。(2009.10.30)

新宿区中落合1丁目17-1
17:30〜25:00 日祝休