橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

東中野「二代目平八」

classingkenji2009-05-26

火曜日は、朝一限目から始まって三コマの授業をこなし、さらに週の後半の授業の準備と忙しい。疲れるので、どこかで飲んで帰りたくなる。大江戸線で帰路につくが、ふと思い立って東中野で降りてみる。
東中野から新井薬師前方向へ北西に延びる飲食店街を物色するが、これといった店がみつからない。そのまま上高田へ迷い込むと、功運寺という大きなお寺があるが、その傍らに立っていたのが、この店。寺の門前でもあり、二代目と冠したその名前からして、相当の老舗かとも思ったが、店主は思いのほか若く、店内はモダンな雰囲気でフュージョンが流れる。カウンターが五席と、テーブルが三つ。
生ビール(五〇〇円)でのどを潤しながら、メニューを眺める。焼鳥は一三〇円から一四〇円で、珍しいことに鳥レバ刺し(五〇〇円)がある。ただし、曜日によっては豚レバ刺しになるとのこと。モツ煮込み(四二〇円)は、白っぽい半透明の出汁に柔らかい白モツが漂う、濃厚にして品のいい味。上レバー串(一四〇円)はとろけるように美味しかった。ホッピーは四〇〇円で、中二〇〇円、外二五〇円。その他、サワー類、カクテル類と、地酒・焼酎各数種類ずつを置く。
入ったときは私一人だったが、しばらくすると若者たちのグループが二組入ってきて、賑やかになった。郊外に若者が若者の集う焼鳥屋を開く。うれしいことである。(2009.5.19)

中野区上高田4-15-1