橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「日本再生酒場」

classingkenji2009-07-23

前期の授業は今日で終わり。そこでどういうわけか、ゼミ生で酒好きの男子学生二人を連れて、池袋で飲むことに。まずはライオン池袋西口店で喉を潤したあと、立ち飲み屋へ。池袋の主だった店はたいがい行ってるのだが、駅から少し離れていることもあって、これまで行ったことがなかったこの店に入ってみることにする。
い志井グループの一業態で、都内に六店、さらに名古屋と鹿児島にも店がある。最近あちこちで見かける高度成長期テイストのレトロ居酒屋のはしりだが、この店の場合は当時の日本をあざとく演出するというよりは、「日本再生」という店名、そして「ちょいとガンバレば元気な日本!」という看板でもわかるように、むしろ演出であることを前面に出している。ちなみに看板の右側にずらりと書かれた名前は、映画の出演者ではなく、運営を委託されている株式会社メディカル技研の社長以下スタッフたちである。
メニューの中心は、モツ焼き。チェーン店で、しきん(食道)やちれ(脾臓)を出したのは、ここが初めてではないだろうか。味は水準を行っており、とくにタレ焼がいい。高度成長期といえば、やはりビールはキリンで、生が四九〇円、瓶が五九五円。酎ハイ類はちょっと高くて、四三〇円から。日本酒は白鶴と笹正宗。その他、ウイスキーハイボールオーストラリアワイン、焼酎など。
こういう立ち飲み屋は、初心者でも入りやすいのが利点だ。立ち飲みを体験してみたいが怖くて入れないという人は、このあたりからどうぞ。(2009.7.14)

豊島区池袋2-13-3 1F
17:00〜24:00 無休