橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

野田「まつ葉」

classingkenji2008-10-29

今日は講演を頼まれて、野田市へ行く。北千住から東武線を乗り継ぎ、自宅を出て2時間後に就いた駅で先方と落ち合い、車で会場の高等学校へ。教員相手の人権問題講座で、近隣の小中学校の先生を含め、二〇人ほどを相手にお話をする。内容は、いつもの格差社会論を一通り話したあと、差別と格差の関係について少し付け加える。パワーポイントを使いながら二時間しゃべりっぱなしだったが、先生方は忍耐強く聞いてくれた。
終わったあと向かったのは、野田市駅から少し離れた住宅街にあるこの店。案内してくれたのは、実は中学時代に同級生だったTさん。不思議な縁で出会った「まつ葉」は、こんな場所に(失礼!)こんな店が、というほど内容の充実した居酒屋だった。なにしろ、酒が揃っている。焼酎と日本酒が、それぞれ二〇−三〇種類ほどあり、さらに驚いたことにボルドーブルゴーニュ、ローヌなど、ボトルワインが二〇種類以上ある。値段も安く、ブルゴーニュパストゥグランやアリゴテなど三五〇〇円から。焼酎と日本酒の値付けはひとつひとつ細かく設定されていて、良心的。日本酒の品切れが多いのは残念だったが、飲んだものはすべて状態がよく、品質管理優先のためと考えれば納得がいく。料理も、魚介類の刺身、焼物、揚げ物を中心うまいものを揃えている。はっきりいって、所得水準の高い地域ではないし、交通も不便な住宅地。それでも、いい店はちゃんとやっていけるのである。野田線沿線に行く用事があったら、ついでにどうぞ。場所がわかりにくいので、電話番号も記しておく。

千葉県野田市野田478
04-7122-6335
17:00〜24:00 月休