橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

久留米「樽平」

classingkenji2009-10-08

ホテルの近くまで帰ってきたものの、まだ九時過ぎ、宵の口(?)である。近くにどこかいい店はないものか。少し探すと、すぐにこの店がみつかった。店名は「樽平」である。「樽平」といえば、山形の名酒、そしてこの名酒を置く銀座の名居酒屋だが、この店はどうか。
樽平が置いてあるわけではなかった。しかし、今晩入った店の中では、酒のメニューがいちばん充実している。日本酒は、立山天狗舞、出羽桜など六種類(四五〇−六五〇円)。焼酎も、白波、雲海、二階堂、島美人、森伊蔵伊佐美など十数種類(三〇〇円から)。ビールも、アサヒ、キリン、サッポロが揃う。メインのメニューはやはりやきとりで、ずり、味噌ホルモンの九〇円から、牛さがりの一八〇円まで。きれいな焼き上がりで、味もいい。焼酎も、グラスになみなみと注いでくれて満足感がある。
カウンターが一二席と、小上がりにテーブルがいくつか。西鉄駅近くで飲む場合には、味、値段ともに安心して入れる店である。(2009.9.20)

福岡県久留米市神町31-6