橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

福岡・天神「角屋」

classingkenji2009-10-09

久留米に一泊し、天神に戻ったのは昼過ぎ。連休前半の天神は、家族連れやカップル、若者たちで賑わっている。前回、天神に来たときにも寄った「ひょうたん寿司」で昼食をとった後、少し飲める場所を物色する。見つけたのが、この店。
一階と地階があり、地階はテーブルのある食事コーナーらしいが、一階は立ち飲み。入り口に券売機があり、これをカウンターに持っていって、飲み物と料理を受けとるしくみ。料理は、一五〇円から三〇〇円が中心で、酢の物、和え物、ソーセージ、酢もつ、刺身など。
このあたりで働いているらしい労働者風の常連客たちがいるかと思えば、デパートの買い物袋を下げた品のいいご夫婦が入ってきて、夫の方がようやく解放されたかの表情でビールを飲む。若いおしゃれなカップルが入ってきて、ビールを一杯飲んですぐに出て行く。休日出勤なのか、スーツにネクタイ姿のサラリーマン二人組も入ってきて、少し遅い連休の始まりを満喫する。野球帽やハンチングをかぶった五人組の六〇代男性が入ってきて、賑やかに飲み始める。万人のための憩いの場所である。(2009.9.21)

福岡市中央区天神2丁目10-12-1F
10:00〜23:00