橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大分「赤ダルマ」

classingkenji2011-02-23

次に向かったのは、焼酎の名店として知られる「赤ダルマ」。店に入ると、左右の壁にずらりとボトルが並んでいるのが目に入るが、焼酎に少し詳しい人なら驚くに違いない。入手困難な幻の名酒といわれる「村尾」「森伊蔵「魔王」の一升瓶が、所狭しと並んでいるのである。基本はグラス売りだが、常連になればボトルキープもできる。どれも古くから仕入れていて、「村尾」などは売れずに在庫が山のようにあった頃からのつきあいなのだという。ちなみにグラス一杯の値段は、魔王と森伊蔵が七〇〇円、村尾は六〇〇円。
とはいえ、どれも県外の酒。ここでは大分の麦焼酎をいただこう。店長が勧めてくれたのは、杵築市の「シャルム・タテイシ」(写真)。ワインのようなボトルで、度数が一八度しかないところは焼酎ばなれしているが、本格的な麦焼酎ならではの香りがある。この店自慢の関アジや関サバと合わせるなら、これくらいの度数の方が好都合というもの。刺身には日本酒の方が合うかとも思ったが、濃厚で甘味の強い地元産のたまり醤油が、焼酎との仲を取り持ってくれる。

大分市都町4-3-22
17:30〜23:00 日祝休