橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「らかんてい」

classingkenji2008-10-01

経堂駅の北側、商店街からすこし入った住宅地にある。駅前の商店街を左に進み、細い通りに入ったあたりで右手に曲がってすぐなのだが、最初は見つけにくいかもしれない。左側にカウンターが八席ほど、右にテーブルが二卓、奥には座敷がある。魚貝料理が中心で、刺身はかつお、秋刀魚、真鯛、カンパチが五八〇円など、干物や唐揚げが四八〇円から。創作料理風のものがいくつかあり、米なすのゆばあん五八〇円、若鶏の山椒揚げ五〇〇円、山芋千切りと半熟卵四八〇円など。いずれも盛りつけが品よく、味も水準をいっている。日本酒が数種類、焼酎が十数種類あって、五五〇−六〇〇円くらいが多い。ビールはサッポロラガー。
落ち着いた雰囲気の店で、カウンターも広く、一人か二人で飲むのに向く。山の手住宅地らしい居酒屋ではある。私はときどき、原稿やゲラをもっていくことがある。ただし右側のテーブルは狭く、この日は体格のいい若者四人の、しかもあまり行儀のよくないグループが体を通路に乗り出してすわっていたため、店員が通るたびに不自由な思いをした。いつもはこんなことはないのだが。(2008.9.24)

世田谷区経堂2丁目13-16
17:30〜翌1:00 無休