橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

フィレンツェの食品市場

classingkenji2008-08-02

フィレンツェ市街のあちこちには、革製品や衣類をうる露店が並んでいるが、いちばん露店の集中するあたりに大きな食品市場の建物がある。地味な建物で、はじめは倉庫か駐車場だと思っていたが、肉屋、八百屋、酒屋、加工食品店などが並んでいる。とくに目立つのは、臓物のたぐいを扱う肉屋で、みたことのないような部位も含めて、種類の多いこと。トリッパはどの店にもあり、いずれも奇麗に下処理がしてある。買って帰って料理したいという誘惑にかられてしまう。市場には、日本人店員が何人かいて、日本人とみると親しげに声をかけてくる。いろいろ説明してくれるのはありがたいが、店によっては相場よりかなり高い値段をつけているので注意が必要。ある店など、他店では30ユーロくらいで売っているワインに、50ユーロ以上の値段をつけていた。(2008.7.22)