橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

フィレンツェ「イル・トスカーノ」

classingkenji2008-07-31

フィレンツェはイタリア有数の観光地だが、ローマやミラノのように広くはないので、観光客密度がものすごく高い。街を歩いていても、おそらく通行人の9割くらいは観光客ではないかと思われるほど。ウフィッツィ美術館やドゥオモなど、主要な観光スポット近くのレストランは、ともかく高い。ガイドブックに載っている店へも行ってみたが、主だった料理はすべて20ユーロ以上で、ワインもただのキャンティなど一部を除けば30ユーロぐらいから。味はいいけれど、そうそう行くわけにはいかない。しかし、表通りから少しはずれると安いレストランが並んでいて、10-16ユーロくらいのセット・メニューをそろえているところが多い。この店もそのひとつで、コースは2皿とデザートがついて16ユーロ。前菜に頼んだトスカーナ風のラビオリは、濃厚なチーズのソースが美味しい。メインの豚肉のローストは、肉の間にニンニクを挟み込んで焼いたもの。追加で頼んだトスカーナ風ズッキーニの詰め物は、ズッキーニに穴を開け、おそらく肉と野菜をトロトロに煮込んだものを詰めて焼いたもので、ワインにぴったりだ。ワインは10ユーロくらいのものから200ユーロ以上のスーパータスカンまでそろえている。気さくな雰囲気で、地元客も多い。フィレンツェで行ったレストランのなかでは、いちばんのおすすめがここ。ホームページもある。(2008.7.19)

Via Guelfa 70r - 50129 Firenze
http://www.itoscano.it/