パリ・革命記念日前夜祭
夕食を終えて、寝酒を飲んでいるころ、窓の外から音楽が聞こえてくる。そうだ、革命記念日の前夜には、あちこちで歌えや踊れやの大騒ぎがあると聞いた。そこで、ムフタール通りに面したコントレスカルプ広場へ出かけた。小さなステージが設けられ、バンドが曲を演奏している。まわりには、音楽に聴き入る人、おしゃべりに興ずる人、そして大切な人と踊る人。高齢者夫婦もいれば、高齢の女性どうしもいる。もちろん、若者たちや子どもたちも。広場のまわりのカフェは満員盛況。バンドは最初、ラテン音楽を流していて、まわりの人のダンスもぎこちない。12時近くになるとシャンソンが流れはじめ、みんなのダンスもリズムに乗ってくる。「パリは燃えているか」がアコーディオンで演奏されると、高齢者を中心に、いちだんとノリがよくなったように思えたのは、気のせいではないと思う。広場に面したアイリッシュパブで、ギネスを飲みながら人々の表情をみる。要するに、日本でいえば盆踊りのようなものだろう。盛り上がるなか、後ろ髪を引かれる思いで帰る。
翌日は、シャンゼリゼ通りへ。人混みであまりよくみえなかったが、戦車、自走砲、装甲車、多連装ロケットランチャー、タンクローリーなどが走り、エコール・ポリテクニークや士官学校の若者が制服を着てサーベル下げて行進し、上空を戦闘機や輸送機が飛び去った。本格的な軍事パレードをみたのは初めて。昨日は、地中海連合のサミット、そして今日は革命記念日。サルコジが株を上げた日になったようにみえるが、まわりの見物人の多くは英語をしゃべる観光客。途中、日本人の若者に「日本の方ですか」と話しかけられた。「今日は、何かあるんですか」、という。そんな程度の観光客が、かなりの部分を占めていたのではないか。(2008.7.14)