橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金沢「まいもん寿司」

classingkenji2007-08-10

金沢にはロードサイド型の大型回転寿司がいくつかあるが、この「まいもん寿司」金沢駅西本店は、その中でも一番人気の店。ちなみに「まいもん」とは「おいしいもの」という意味である。ネタによってかなり細かい価格設定がされている。安い方では、たまご、納豆、イカ明太が一〇五円、ゆでげそ、カッパが一二五円など。売れ筋では、さば、コウイカが一七〇円、甘えび、ブリ、スズキが二四〇円、マグロ、真鯛穴子が二九五円、中とろ、平目、万寿貝が三八〇円など。高いのは、大トロ、ぼたんえびが五五〇円、あわび七五〇円、極上トロ一〇〇〇円。いずれも、二貫の値段である。回転寿司とはいっても、回転しているのは基本的にサンプルで、目の前で握ってコンベアに流されたものを除けば、ほとんど取る人はいない。あくまでも注文が中心である。寿司に天ぷら、茶碗蒸しが付いて一〇〇〇円のランチが人気だが、数量限定で行列を覚悟することが必要。瓶ビール、生ビール、日本酒がいずれも五五〇円で、地酒は半合で三八〇円より。
ネタは厚みがあり、食べ応え十分。そして、うまい。とくにこの日は、万寿貝、サザエ、本日おすすめのノドグロがよかった。最後の締めは、一八〇円のアラ汁(写真)。甘えびの頭を含めて数種類の具がこれでもかと盛られてこの値段は驚異である。二子玉川高島屋に支店があるが、まったく別物と考えた方がいい。車が使える地元民以外にとっては便利な場所ではないが、昼食に立ち寄るためにタクシーを使うだけの価値はある。