橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金沢「よし久」

classingkenji2011-11-07

二日目の晩は、居酒屋というより郷土料理店のこの店。金沢駅にほど近く、創業が一九五四年という老舗だが、現在はビルになっている。玄関脇には、メニューやランチコースの写真などがいろいろ貼られていて、観光客でも入りやすそうだ。
大きな店だけに、たいていのものは揃っている。しかも、安い。烏賊黒造り、河豚糠漬け、鮴と胡桃の佃煮などが四八〇円から五八〇円で、これらを盛り合わせた加賀珍味盛り合わせも六八〇円。蓮蒸し、治部煮など、千円以上することの多い椀物も、九〇〇円前後だ。日本酒も主だった所がだいたい揃っていて、手取川、宗玄、菊姫天狗舞などが、一合の徳利で八〇〇円前後。味も十分美味しく、大満足だった。郷土料理店はけっこうな値段の場合もあるが、この店は安心。店員の態度もいい。家族で旅行に行った時などには、最適の店だろう。(2011.10.22)

金沢市昭和町11番20号
11:30〜14:30、17:00〜22:30 第3月休