橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金沢「黒百合」

classingkenji2011-11-09

金沢の最後は、必ず立ち寄ることにしているこの店。駅ビルの中にあり、店を出て三分もあれば列車に乗ることが出来る。昔は地下街の狭くて薄暗い店で、地元の常連客ばかりだったが、今では広く明るく、観光客も気軽に立ち寄れる店になった。この店は小堀酒造の「萬歳楽」をいろいろ取りそろえていて、値段も正一合が普通酒の三一〇円から大吟醸の一五〇〇円までと、安い。料理は加賀能登の味を中心に、おでんや普通の居酒屋料理まで。
写真は香箱蟹、つまり卵を抱いたズワイガニの雌。甲羅の中の味噌と内子の味は格別ながら、小さいので脚身を食べるのに苦労するのが常だが、この店ではご覧の通りほぐして出してくれる。贅沢で満ち足りた気分になれた。(2011.10.22)

石川県金沢市広岡町ロ-1 金沢百番街内あじわい館
9:30〜22:00 無休