橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金沢「マル源酒店」

classingkenji2007-08-12

子どもの頃から飲んでいた、というわけではない(当たり前だ)。しかし、たいていの料理には酒が入っているわけだから、その味に親しんでいたとは言えるだろう。だから私は、石川県の酒が好きである。石川の酒の特徴は、日本海側には珍しく濃醇タイプであること。菊姫や宋玄がその典型である。菊姫も最近では、東京でわりと簡単に手に入るようになった。売れ筋の純米や吟醸なら、近所の酒屋でも売っている。しかし、全種類が手に入るわけではない。石川には他にもいい酒がいろいろあるが、東京で手に入るものは少ない。そこで、ときどき利用させていただいているのが、金沢・東山の「マル源酒店」である。ひがし茶屋町街にもほど近いこの酒屋、メインはワインで、熱心な若主人が楽天に店を開いて頑張っていらっしゃる。ワインと石川の地酒が同時に注文できるのだから、私にとっては大変ありがたい。今日は突然の訪問だったが、快く迎えてくださった。店舗は小さいが、近所は高齢化が進んで空き家が多くなっているので、倉庫には事欠かないとのこと。なるほど、空洞化した市街地やシャッター通りも、ネットショップには使えるということか。記念撮影をさせていただいた。ワインも種類が多く、ものによっては格安。ワインが好きで、石川の地酒も入手したい人には、この店がおすすめである。