『樽平』の常連だった黒澤明
黒澤明の優れた評伝として定評のあるのが、堀川弘通の『評伝 黒澤明』である。この中に、気になる一節があった。
戦前の新米監督時代、黒澤は助監督の堀川らを誘って、よく酒を飲みにいった。一九四〇年頃の話である。そして堀川によると、「渋谷では『多こ春』、銀座では京橋の『酒蔵樽平』などから、まず飲み始める。酒の肴は、すべて『シナリオの構想』である」とのこと。
今も銀座八丁目にある名店「樽平」は、当時銀座六丁目にあったはずだが、京橋にももう一軒あったのか。それとも、堀川の記憶違いか。いずれにしても、移転したとはいえ「樽平」が黒澤の行きつけだったとは面白い。
- 作者: 堀川弘通
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/09/10
- メディア: 文庫
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