橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「みちのく」

classingkenji2011-05-25

研究会のあと、京都からのお客さんを連れて銀座「三州屋」へ。しばらく飲んで食べて、有楽町の駅までお見送りしたあと、この店へ。
名前の通り東北料理が売り物の店で、青森の生姜味噌おでん、宮城のはっと汁、福島の鰊山椒漬、岩手の若布かき揚げ、山形の玉蒟蒻、秋田のきりたんぽなど、全県をカバーしている。酒も。田酒、南部美人、新政、十四代、末廣、浦霞など、やはり全県をカバー。これだけのメニューを維持するのは大変だろう。本場の味かどうかは、地元の人に判断してもらうしかないが、何を食べても美味しい。値段も、料理は六〇〇円から八〇〇円が中心、酒も純米・純米吟醸クラスで八〇〇円から九〇〇円だから、まあ良心的といえる。ここ一軒で東北のものをいろいろ食べることができ、ちょっとした東北一周旅行の気分を味わえる。
落ち着いた雰囲気で、居酒屋というよりは料理屋だ。週末だからか、ちょっとリッチめの三〇代くらいのグループが多かった。カウンターがあるが、中年男一人にはあまり似合わない店かもしれない。(2001.4.23)

中央区銀座西2-2 銀座インズ2 2F
11:00〜14:00 17:00〜23:00 日祝休