橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

下北沢「千真野」

classingkenji2011-05-27

家の近くに、こんな店があるとは知らなかった。岩手県のホームページからたどり着いて見つけたのが、この「千真野」。岩手県千厩町出身のご主人が、五年前に開いたという店である。
メニューには、南部地鶏、門崎牛、佐助豚、岩手鴨など、岩手の食材が並ぶ。酒も、菊の司、七福神、鷲の尾など。珍しいのは「よ右衛門」という花巻の酒で、華やかな香りと強い風味が特徴。海老とウドのぬたは、ネギの青みと海老の赤が見事に調和した美しい一品。鰹の刺身には、行者ニンニクを刻んでタレに漬け込んだ薬味が添えられ、これが素晴らしい相性だ。門崎牛のたたきを頼んだら、その場で焼いたレアステーキ風のものを薄く切って出してくれた。色も美しく、たいへんおいしい。
酒は岩手以外の東北各地、そして全国の有名どころを置いている。伯楽星、梅の宿、龍力、貴、磯自慢など、なかなか見事な品揃えである。ワインも、手頃な値段のいいものを置いている。下北沢の北口から、歩いて五分ほど。(2011.4.29)

世田谷区北沢2-34-8 MKビル2F
18:00〜25:00 水休