橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

板橋「おいで屋」

classingkenji2009-05-21

巣鴨をあとにして、予定通り古巣の板橋へ。埼京線を使って楽に帰れるから、一軒寄り道していこうという魂胆である。都営三田線の新板橋まで行き、JR板橋方向へ歩く。いつもと違って、少し遠回り気味に横丁に入ると、真新しい看板が目に入った。「炭火串焼 おいで屋」である。店名と看板に、ややチェーン店らしさを感じないではないが、入ってみることにする。
結果的には、正解。まず驚いたのは、ホッピーセットがわずか三〇〇円だったこと。ジョッキも外も冷えていないし、氷たっぷりで出てくるなど、三冷とは対極のホッピーだが、この値段はうれしい(中は一八〇円)。ちなみにビールはスーパードライで、瓶五二〇円、中生四三〇円。サワー類は、三五〇円が中心。すぐに届いたホッピーを一口飲んだ頃、お通しが届く。外側だけ湯通しした、透き通ったピンク色のコブクロである。澄んだ味で、素晴らしく美味しい。これだけで、幸せな気分になる。
串焼きは一四〇円が基本だから、あまり安いとはいえないが、味は期待どおり。都内の並み居る名店に仲間入りできるかといえば、そうはいくまいが、十分美味しくいただけた。先月開店したばかりとのこと。板橋方面に住む人は、途中下車してみることをおすすめする。この界隈には、魅力的な大衆酒場がいくつかあるから、遠くの人もたまに行ってみてはどうだろう。なお、下記の住所は地図を見て推測したものである。

板橋区板橋1-49-9