橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

祖師ヶ谷大蔵「ひもの屋 網十」

classingkenji2009-04-10

桜の花も、最盛期だ。今日は、成城の南側、仙川沿いの夜桜を見に行く。見事な枝が川の中心部に向かって伸び、なかなかの眺め。石神井川の桜と並んで、東京にあって渓谷の桜のような景観が楽しめる。
このあたりには東宝の撮影所があり、その近くの桜は見事にライトアップされている。ただし、ガードマンが監視していて、近づくと「この先は行けません。両側もだめです」と居丈高に制止する。もう少し、口のきき方は教育した方がいい。
どこで食事しようかと思ったのだが、最近カロリーのとりすぎなので、この店にした。八百八町グループの店で、以前、江古田店には学生たちと一緒に入ったことがある。干物中心の居酒屋とは、チェーンにしてはなかなかユニークだが、店内はほぼ満員。しかも、若者が多い。近所の日大商学部の学生らしいグループもいる。八百八町グループの業態の中では、いちばん流行っていて、店舗数は五五店にもなるとのこと。干物中心の居酒屋が若者に受けると思いついた人間の発想には感心する。料理は概して安く、干物は一八〇円から。形や大きさの不揃いなものなど仕入れて、安く売っているようだ。しかし、九八〇円の金目鯛など、一部には高級品もあり、中高年でも楽しめそう。ただし、全体に塩味はきつめである。酒も、ひととおり揃っている。(2009.4.6)

世田谷区祖師谷3-35-12
平日 16:30〜2:00
日祝 16:30〜0:00 無休