橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

有楽町「登運とん」

classingkenji2007-06-12

ここまで来たら、ついでに「登運とん」にも寄ってみよう。「うた」はJRのガードとは道を一本隔てた場所だったが、こちらは正真正銘のガード下。創業は一九五三年とのことだから、ヤミ市直系というわけではなさそうだ。奥の席に通されたが、壁が斜めになっている。品揃え、価格設定ともに「うた」に似ていて、生樽ホッピーがあるのも同じ。しかし、ガード下の薄暗い通路に面したその雰囲気は独特である。煙がもうもうと立ちこめ、電車の音と客の笑い声がこだまする。いつもここを通るとき、入りたい欲望に駆られるという人も多かろう。やきとり横丁もそうだが、外人が多いのはガイドブックに載っているからか。こちらは何と、日曜含めて休みがなく、しかも昼間からやっている。いけない、行ってしまいそうになるじゃないか(笑)。