橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中目黒「源」

classingkenji2011-08-26

集中講義の二日目。今日も、終わった後は中目黒へ直行する。向ったのは、あらかじめDAITENさんのブログで確認しておいた「源」。昔は中目黒にあり、今は祐天寺に後継者が店を開く名店「ばん」から独立した人が営む店とのこと。何の変哲もないビルの二階にある。小さな看板があるだけだから、うっかりすると見逃しそうだ。
混む店だと聞いていたが、時間が早いせいか、客は数名だけ。まずはビールをいただいて、メニューを眺める。モツ煮込み、もつ焼き、レバかつ、豚尾など、「ばん」と共通部分が多い。塩味のモツ煮込みをいただいたが、これが素晴らしく美味しい。まったく臭みがなく、濃厚でありながら品がいい。あくまでも柔らかいのに、モツの脂が抜けていないのは、どうしたことか。これは、熟練のプロの技である。小鉢で五〇〇円は安くないが、その価値は十分ある。もつ焼きは、少々おとなしい感じの仕上がりで、これも美味しい。一七〇円と少々高めだがリーズナブルか。中目黒、これまでほとんど来ることがなかったが、知られざる居酒屋の宝庫である。(2011.8.3)

目黒区上目黒2-10-7 アサミビル2階