橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

富山「桜亭」

classingkenji2012-06-06

こちらも、魚が自慢の居酒屋。主人の早川潤也さんは新湊漁港の準組合員。魚屋任せの仕入れは決してせず、競りの現場に立ち、目をつけた魚を仕入れてくる。日替わりメニューを見ると、その日の魚が、つり漁、かご漁、定置あみ漁、さしあみ漁などと、漁の仕方によって分類されている。漁法によってターゲットなる水域が違うので、魚の味は違うからだとか。ここまでこだわれば、競りの現場に立たないと仕入れられないはずだ。
写真は、さしあみ漁で捕れたノドグロの塩焼き。適度に脂がのった柔らかい身を口に含むと、はらりとほぐれて口中に純粋かつ濃厚な魚の旨みが溢れた。日本酒は、県内のものばかり二〇種類近くを揃える。魚好きには一押しの店である。(2012.5.10)

富山市桜町2-1-1
17:00〜2:00(日曜〜24:00) 月休