橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「黒ぶたや」

classingkenji2008-04-11

経堂駅南側の農大通りに、最近できた店。黒豚料理がメインというので、行ってみた。写真は豚ヒレたたき(八〇〇円)で、外側だけ焼き、中は完全に生という一品。豚は寄生虫がいるので火を通さないといけない……というのは昔の話らしいが、生のものを出す店は少ない。味はというと、肉にしては極めて淡泊で、むしろもちもちした触感のインドマグロあたりに近いかも知れない。臭みはなく、じんわりしたうまみが広がる。これは、もっと普及していい食べ方だと思う。一品を三つほど食べたあと、薬膳しゃぶしゃぶというのをいただいたが、これは予想された味。焼酎を何十種類かおいていて、多くはグラスで四九〇円で出す。二人で食べて飲んで、八〇〇〇円ほど。恵比寿に本店があり、横浜、立川、大宮に系列店があるとのこと。(2008.4.6)

世田谷区経堂1-21-22 ショップ経堂2F
17:30〜26:00 無休