橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「堀切のんき 赤羽店」

classingkenji2008-02-20

堀切菖蒲園に「のんき」という、もつ焼きの名店がある。実は私、まだ行ったことがないのだが、のれん分けした店が赤羽にできたという。二軒目はそこに行ってみることにする。まだ五時半頃なので、今日は私が最初の客。まずは、元祖下町ハイボール(二九〇円)を注文。薄黄色で氷は入らず、レモンスライスが一枚載った、正統派のハイボールである。見ていると、店員が天羽乃梅のボトルを出してきて焼酎とブレンドしている。評判のシロは、とろけるような旨さで絶品。タレの味もいい。何でもこのタレ、本店のものを毎日少しずつ分けてもらって開店にこぎ着けたとのこと。シロはこれまで、経堂・灯串坊のものがベストと思っていたが、上を行くものに出会ってしまった。もつ焼きは一本一〇〇円で、注文は二本から。ホッピーセットは五〇〇円とちょっと高めで、中が二三〇円。生ビール五〇〇円、中瓶五五〇円と、ハイボール以外の酒は、赤羽にしてはやや高めである。赤羽駅の北口から東側に出て、左手の横断歩道を渡ってOK横丁に入り、そのいちばん奥の方にある。四谷店もあるらしいが、こちらはもつ焼きが一三〇円と高くなるのは、場所柄仕方のないところだろう。飲んでいるうちに、次々と客が入ってくる。地元民というよりは、仕事帰りのサラリーマンや若者が多い。大衆酒場激戦区の赤羽にあって、新住民や通勤者を中心に健闘しているようである。(2008.2.15)

堀切のんき 赤羽店
北区赤羽1-19-16 
03-6860-8910 	
17:00〜24:00(L.O.23:30) 日休