橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「トロ函」

classingkenji2008-02-21

「のんき」を出て、OK横丁から「まるます家」の横を通って一番街に入る。目に飛び込んできたのが「赤羽 トロ函」と大書された白い看板だ。以前、小岩の「トロ函」には行ったけれど、赤羽にも進出するとは驚き。しかも、「まるます家」の隣というベストポジションである。「まるます家」は入れなくてあきらめる人も多いから、客も入りやすいだろう。カウンター席が空いているようなので、入ってみることにする。酒や料理の値段が二九九円や三九九円になっているのは、小岩と同じ。エビス中生四九九円、サッポロラガー大瓶は五九九円、ホッピー、ホイス、天羽の梅を使った下町ハイボールも、やはり三九九円。料理は、いかにも新鮮そうな魚介類で、マグロ、ホタテ、ハマグリ、ウニ、エビ、イカカニなど。焼き物は、テーブルの上の七輪で自分で焼いて食べるという趣向。すべて美味しいのは、小岩店で知っていたが、まだ行きたい店があったので、マグロの骨付き中落ち(五九九円)だけにしておく。白い大きな骨がごろんと皿に載せられ、その上に脂ののった中落ちが盛られる。大変、美味しい。店内は、ほぼ満員。「のんき」「トロ函」と、評価の高い店が進出してくるというのも、「まるます家」あってのことだろう。いい居酒屋が町おこしになることの証明である。

赤羽 トロ函
北区赤羽1-17-7
 03-3903-7175
16:00〜23:00 無休