橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

『「格差」の戦後史 増補新版』

二〇〇九年に刊行され、好評をいただいた『「格差」の戦後史』ですが、近く増補新版が出ることになりました。初版にあった部分は、細かな訂正と修正を行なっただけですが、巻末に「地域間格差の戦後史」「戦後史のなかの若者の貧困」「戦後史のなかの主婦」の三章を追加し、ページ数は六四ページほど増えています。
二〇一一年の大震災以降、人々の格差に対する意識は微妙に変化しました。格差社会を論じる際に、地域間格差の問題を避けて通ることはできなくなりました。また時系列的に章立てをした初版では、特定の社会層についての長期の変化を論じることができませんでした。こうした欠落を補うため、震災後の変化について簡単に触れたあとで地域間格差について論じる補章1、若者の貧困の五〇年間の変化について論じた補章2、そして同じく主婦の変化を追った補章3を追加して、増補新版としたものです。
二〇一七年頃には、二〇一〇年代についての章を追加した全面改訂版を出すつもりでいますが、当面はこちらをご覧いただければ幸いです。