橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

Chris Bunting, Drinking Japan

英語で書かれた、日本の酒と酒場のガイドブック。たいへん良く出来ている。日本の酒文化を論じた序論から始まり、第一章は日本酒、第二章は焼酎、第三章は泡盛、第四章はビール、などと続く。
日本酒の章を見れば、まず酒蔵と酒の製法の解説から始まり、日本酒には大吟醸吟醸、純米、本醸造普通酒増醸酒の六種類があるとして、精米歩合や日本酒度などについて解説する。さらに生貯蔵・生酒・生詰めの違い、生酛と山廃など、日本人でも普通は知らないようなことまで事細かに解説される。
そのうえで、居酒屋案内。掲載されているのは、赤鬼、呑者家、駒八、串駒、酒の穴、笹吟、樽一、萬屋松風などの名店の数々で、札幌、仙台、広島など地方にも目を向けているのが好ましい。
これまで日本語では書かれたことのない、日本の酒と酒場についての包括的な概説書である。

Drinking Japan

Drinking Japan

  • 作者: クリスバンティング,Chris Bunting
  • 出版社/メーカー: チャールズ・イ・タトル出版
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: ペーパーバック
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