橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

甲府「奥藤本店 国母店」

classingkenji2012-01-19

話は、昨年末に戻る。年末の仕事も終え、「あー、疲れた。温泉に入って美味い酒が飲みたい」というわけで、一泊二日で山梨へ行くことにした。まず向かったのは甲府周辺で、少し観光をした後、この店へ。B1グランプリですっかり有名になった、鳥もつ煮発祥の地とされる店である。
基本は蕎麦屋だが、メインのサイドディッシュが鶏もつ煮で、たいていの人が蕎麦と鳥もつ煮のセットを注文している。鳥もつ煮といえば、むかし肉屋さんでよく売っていた、鳥もつをしっかり煮込んで佃煮のようになったお総菜が頭に浮かぶが、甲府の鳥もつ煮は、その場で調理して出す熱々の料理である。ジューシーで柔らかく、すばらしく美味しい。レバーを使った料理としては、最上のものの一つだろう。メニューには山梨らしく地元のワインもあり、私はサドヤのシャトー・ブリヤン・ミュールの赤をいただいた。相性は抜群である。もちろん、蕎麦もいい。
この店は駅から遠く、車を使わないと無理。急ぎの旅なら、駅前店へ行くといい。(2011.12.27)

山梨県甲府市国母7-5-12
11:30-14:30 17:00-20:30 水休