橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

にろく・小関敦之・浜田信郎・藤原法仁『東京駅近居酒屋名店探訪』

山手線には駅が二九あるが、まだ飲みに行ったことのない駅が二、三ある。いつか全駅制覇してみたいと思っていたら、ちょうど良い本が出た。本書は、山手線の駅から近い居酒屋を各駅一−二軒、合計三三軒、これに下町とそれ以外の駅に近い居酒屋を二一軒、合計五四軒紹介したもの。
考えてみると居酒屋紹介本というものは、大きな繁華街や、下町の核になるようないくつかの町に偏りがちである。こうやって駅を網羅するという発想に立つと、これまで目か向かなかった地域まで視野に入ってくるわけだ。大崎、駒込、田端あたりの店には、ぜひ行ってみたい。写真のいくつかは、著者の藤原さんが撮っているようだが、なかなか堂に入っている。またまた定番の居酒屋ガイド誕生である。

東京 「駅近」居酒屋名店探訪

東京 「駅近」居酒屋名店探訪