橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

レバ刺しを我らに

classingkenji2011-06-24

仕事のあと、大衆酒場好きなら誰でも知っている名店の支店へ。壁にあるこの貼り紙は、素晴らしい刺身で評判だったこの名店の、非情なる現実である。
何の問題もなく何十年もレバ刺しをはじめとする生肉を提供してきた名店の数々が、同じような状況にある。知識も技術もない人間が、肉を捌き調理するという前提で作られた、役人の自己保身ともいえる杓子定規の基準を、名店にまで当てはめてしまうとこういうことになる。
この名店、あの名店で、再びレバ刺しを楽しめる日は、来るのだろうか。