橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

湯島「岩手屋本店」 「酔仙」完売

classingkenji2011-06-22

今日は、京都からのお客さんを連れて、今年三度目の「岩手屋」である。震災の後、酒問屋の在庫をかき集めてしのいできた「酔仙」も、とうとうすべて品切れ。壁には、こんなメッセージがあった。
店主は、酔仙酒造が津波に流される映像を見たときのお気持ちを「いやぁ、むなしかったですねぇ、なにしろ五〇年も付き合ってきたんですから」とおっしゃる。最後に注文を入れたのは、地震が起こるわずか二時間前だったのだとか。ヒット商品のにごり酒「雪っこ」は、もしかすると今年中に製造できるようになるかもしれないという。期待しよう。(2011.6.4)