橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

静岡「鹿島屋」

classingkenji2010-07-02

頼まれた仕事で、静岡へ。静岡は、大学院を出てから一四年間勤めた場所である。とはいっても、東京の本宅と行き来する生活で、通常は週に二泊三日、時期によっては一泊しかしなかった上に、滞在時間を出来るだけ短くするため、夜遅くまで大学に居残って雑務をしていた。というわけで、あまり街で飲み歩くことはなかったのだが、繁華街はさほど広くもないから、いちおう隅から隅まで知っている。仕事を頼んできた先方は、静岡が初めてということなので、案内してまず向かったのが、この店。創業八〇年を超えるという老舗だ。
文句なしの名店である。といっても、私がときどき通っていた頃とは内装が違い、やや風格が失われ、ただの料理屋風になったのは残念。しかし、味は変らない。魚介料理の種類が多く、味は文句なし。酒も地元のものが数種類あり、あの幻の酒「磯自慢」がも、ここなら間違いなく飲める。
行くなら、予約した方がいい。かなり街外れの場所にあるので、初めての人は地図をよく確認しておくこと。(2010.6.12)

静岡市葵区上石町7-15
17:00〜23:00 日休