橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

美久仁小路「ふくろ」

classingkenji2010-03-16

今日は東大の建築学科で、ヤミ市研究会。今回から明治大学の青井哲人さんと、研究室の院生二人が参加してくれて、研究会らしい人数になった。私から出版企画について説明したあと、地方都市、新宿、吉祥寺についての報告を受け、その後は例によって「実地調査」。
本日の調査地は、池袋の美久仁小路。人世横丁はなくなってしまったが、まだ美久仁小路と栄町通りが残されている。横丁の店には、常連しか受け付けない雰囲気をたたえた店が多く、実際に常連でないとやんわり断られるケースもあるのだが、ここは初心者でも入りやすい店。表にメニューと値段が書かれているし、入り口の引き戸に透明なガラスが使われていて、中の様子は見える。料理は種類が多くて安いが、特筆すべきは酒の値段が驚異的に安いこと。何しろホッピーセットは焼酎一合付き三八〇円で、これが実質的には二杯分の値段になる。ここで閉店近くの時間まで、ヤミ市や戦後建築の話で大いに盛り上がったのだった。(2010.2.27)

豊島区東池袋1-23-12
16:00〜24:00 日祝休