橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

西新宿「春栄亭」

classingkenji2010-03-15

今日は、東京ユニオン、管理職ユニオンなど、新興の労働組合関係者が集まって組織している「社会的労働運動研究会」に報告を頼まれ、西新宿へ。西新宿といっても、新宿からはかなり遠く、いちばん近い駅は大江戸線の西新宿五丁目だろう。『「格差」の戦後史』と『新しい階級社会・新しい階級闘争』の内容を中心に、労働組合運動の課題のような内容を追加して、一時間半ほどお話しし、その後は討論。管理職ユニオンの設楽さん、全国ユニオンの鴨さんなど、その筋の有名人ともお話しできて、充実の研究会だった。
終わったあとは、当然のように居酒屋へ。このあたりは、かつて十二社と呼ばれていた地域で、花街や温泉があった場所だが、現在ではその名残をとどめるものは少ない。この店がどういう来歴のものかは分からないが、普通の居酒屋料理の他、京いものウニあんかけ、京かぶと鯛の煮物、山菜天ぷら、ふぐなど、手の込んだ料理も出しているところは、花街の文化を受けついているようにも見える。酒も、日本酒と焼酎が何種類かあり、ビールはサッポロ。交通は、きわめて不便。近所で働くサラリーマン御用達で、余所者が行く機会はなさそうだが、十二社の現在の姿を知るために行ってみるというのも一興だろう。(2010.2.26)

新宿区西新宿4-2-2
17:00〜21:00(ランチあり) 日休