橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

並木通り「La Viola」

classingkenji2009-10-28

今日は、本屋めぐりをした後、久しぶりに銀座へ。まずは銀座らしい場所にも、ということでこの店へ。三笠会館が経営するイタリア風バールで、手前が立飲みバール、置くがテーブルのあるレストランとなっている。三笠会館らしい、そつのないインテリア。注文を取りに来た女性店員は、服装といい言葉遣いといい、「三笠会館でございます」というクラシックな雰囲気である。まずは、ハウスワイン(赤、白、泡)一杯に簡単なおつまみ取り放題で一〇〇〇円というのを注文する。これを店ではハッピー・アペリティーヴォと呼んでいるらしい。一杯目だから、ワインはスプマンテだ。
後で飲んだ赤と白のハウスワイン(五〇〇円)は感心しなかったが、泡は合格。注文は、泡に限る。グラスワインは他にも一〇種類くらいあるので、二杯目は、ここから選ぼう(七〇〇−一〇〇〇円)。おつまみは、トマトサラダ、サラミ、ナッツ、ドライフルーツ、グリッシーニなど。食事の前に立ち寄るならこれでも十分だが、本格的な料理も注文できる。私が注文したトリッパの煮込みは、丁寧に下ごしらえしたすっきりした一品で、モツの臭みも大好きな私にはちょっと物足りないが、これはこれで美味しい。厨房の前にドンと置かれた生ハムも、一口サイズに小さく切って出してくれる。立飲みのワインにふさわしいスタイルだ。二人で入って、ワイン三杯ずつ、料理二品で六〇〇〇円。銀座の真ん中だから、こんなものだろう。次回は、ハッピー・アペリティーヴォで泡二杯、一五〇〇円というのが良さそうだ。(2009.10.17)

中央区銀座5-5-17 三笠会館本店 1F
11:00〜23:00 無休