橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

江古田「月」

classingkenji2009-10-14

江古田に新しくできた立ち飲み屋。ビールケースに座ることもできるが、中途半端な高さで座り心地が悪く、半ば立っているような形になる。ビールケースを組み立てたテーブルも質素だが、最近はこういうのがトレンド。
ともかく、ドリンクが安い。酎ハイ類は、二〇〇円から二二〇円。ホッピーセットが三〇〇円、生ビール(アサヒ)三五〇円、ハイボール三〇〇円。学生街で、全体に安い店が多い江古田でも、この安さは突出している。その他、瓶から注ぐ本格焼酎が何種類かあり、これは五〇〇円。
主人はもともと鉄板焼きの店で働いていたとのことで、料理はホルモン類を鉄板で焼いたものがメイン。これは、三〇〇円から四〇〇円。頼めば、七輪も出してくれるようだ。鉄板メニューでは、焼きそばやお好み焼きもある。その他では、枝豆、野菜スティック、塩辛、焼き茄子、えいひれ、ヘシコなど、二〇〇円から三〇〇円のメニューが多い。ホルモンの鉄板焼きは、塩味と味噌味があり、素材はよく、味は合格点。分量からいうと、大きめの串二本分くらいだろうか。酒に比べるとお得感がないが、全体としては安いといっていい。何しろ、ホッピーセットが三〇〇円(中は、おそらく一〇〇円)なのだから。ただし、何もいわないと焼酎と氷の入ったグラスに瓶の中身を三分の一ほど入れ、マドラーで思い切りかき回してから持ってくるので、注文時には「混ぜないで持ってきて」と頼むのが正解。
まだ学生たちには知られていないのか、客は中高年男性が多い。今度、学生を連れてきてみよう。「今晩はおごってやるぞ」と喜ばせておいて、ここに連れてくる。安く上がるに違いない。ランチもやっているが、メニューはホルモン丼、牛すじ丼、両方混ぜたミックス丼のみ。(2009.9.24)
[追記]閉店。どう見ても繁盛していなかったが。

練馬区栄町26-2
18:00〜23:00