橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「ふくろ」

classingkenji2009-07-28

今日は、朝九時過ぎから期末試験。思ったより出席率が悪く、採点も順調に進んで、夕方にはすべて終了。これは一人で慰労会だな、と池袋へ。まだ五時前だ。となると、行くのはこの店だ。
一階のカウンター席は、もう三分の二ほどが埋まっている。全員が、中高年男性だ。大部分がカジュアルな服装のご隠居風や労働者風だが、私が入ったあたりから、スーツにネクタイ姿もちらほら混じるようになってくる。一リットル近く入って六五〇円の生ビールも魅力だが、スーパードライというのが難点。ここは、やはりホッピーにしておく。外が一九〇円、焼酎が一合瓶に入って一九〇円、合計三八〇円。これで、たっぷり二杯分になる。まず注文した料理は、ハムカツ(三五〇円)。厚手のものにキャベツが添えられている。野菜も食べなければ、と次の注文したのはタン炒め(四五〇円)。野菜とタンのスライスが、大きな皿に山盛りだ。
時間が早いせいか、今日の客は比較的おとなしい。この店では、時には、酔っぱらって大声を出したり、他の客に何かと話しかけたりという光景を見かけることもあるのだが、今日の客は、それぞれが分を守って飲んでいる。もっとも、喧噪と多少のカオスも、この店の魅力ではある。二年前に一度取り上げたことがあるから、詳細についてはそちらもどうぞ。(2009.7.21)