橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「とら八」

classingkenji2009-02-25

編集者と別れ、一人で神田を徘徊。神田はあまり来ることがないので、新鮮な感じがする。だいぶ飲み食いしたあとだから、店と真剣勝負したくなるような名店風のところは避け、焼きとんを看板に掲げたこのチェーン店へ。店はかなり広い。入ってすぐのL字型カウンターに座り、まずはカシラ、シロとホッピーを注文。ホッピー(三九九円)は作って持ってくるスタイルで、分量はおそらくリターナブル瓶の七割方といったところだろう。ビールの中ジョッキ五二五円の店なので、こんなところか。焼きとん(一本一二六円で二本から)は可もなし不可もなし。日本酒は玉の光、磯自慢、春鹿など数種類あって、六〇〇−七五〇円くらい、焼酎は三〇種類ほどあって、四五〇−七〇〇円くらい。接客から料理から、すべていかにもチェーン風のマニュアル通りの仕事である。まあ仕事帰りにグループで、手軽に焼きとん食べてホッピーか焼酎を飲んで、という用途の店だろうけれど、佐藤・黒と伊佐美を六五〇円、くじら、れんと、釈云麦などを四七三円で出しているのは良心的。焼酎の好きな人は、行って損はない。秋葉原御徒町、大手町、新橋、上野にも店がある。(2009.2.20)

千代田区内神田3-5-1 
11:30〜14:00, 16:30〜24:00 日祝休