橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

スタグフレーション?

classingkenji2008-09-19

三ヶ月ぶりに日本に帰ってみると、いろいろなものが値上がりしている。パン、麺、ジュース、マグロなど。景気は悪化しているはずなのに、この値上がりはつらい。
ときどき行くやきとり屋も、値上がりしていた。レバ、ハツ、カシラは一〇〇円から一二〇円、タン、トントロ、チレ、テッポウは一五〇円から一七〇円、ギアラは一五〇円から二〇〇円に。ネギマ、モモ、ボンジリなど鶏関係も、一律二〇円値上げ。もともと値段が高いマルチョウは二〇〇円で据え置き。四月にはビールが値上がりし、『居酒屋ほろ酔い考現学』の出版では校正段階で値段の訂正が必要になり、編集者にずいぶん手間をかけてしまったが、今回は料理の値上がりである。もっとも、値段が変わっていない店もあるので、それぞれの経営状態にもよるのだろう。何かの仕入れ価格が上がった場合、上がったものだけを値上げするか、これまで無理して値上げせずにいたものを値上げするか、値上げしても売り上げに影響なさそうなものに転嫁するかなど、いろいろ戦術もあるだろう。
写真は、この店のチレとテッポウ。このボリュームだし味も良いので、仕方がないかというところ。ちなみに、ホッピーは値上がりしていなくて安心した。(2008.9.14)