橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

醜くくなる銀座

classingkenji2008-05-21

最近、海外のブランドショップが増えるとともに、銀座の街並みがどんどん醜くなっていく。ディオールのビルは、まるでビルの駐車場だし、プラダの店の前にはコールガールにしか見えない女の巨大な写真が掲げられている。銀座には「銀座フィルター」があるといわれてきた。新しい店はどんどんできるが、街に同化できない店は、篩にかけられて去っていくというのである。そのことが新宿の発展と銀座の停滞をもたらしたとしても、それはそれでいいのではないか。高齢社会には、子どもの来ない落ち着いた盛り場が必要である。