橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

江古田「あぶさん」

classingkenji2007-12-07

大学の近所に最近(といっても一年前だが)できたもつ焼きの店。店の前にはホッピーの赤提灯が。最近あちこちで目立つこの提灯、見かけると入ってみたくなるのは私だけではないだろう。たぶん。店内には、長いテーブルが三つある。テーブルの真ん中には仕切りがあり、細長いカウンターが向かい合わせになったような感じになる。今から十数年前、改装される前の八重洲「玉乃光酒蔵」と同じ形式だ。効率よく一人客を収容するスペースの使い方で、「玉乃光酒蔵」はまさにオジサンたちのパラダイスになっていたのだが、学生街の江古田に持ち込むのはどうか。もっとも、仕切りは中途半端な高さで、しかも細めの板を一本通しただけなので、向かい側が見え、グループ客でも使えないわけではない。もつ焼きはレバ、カシラ、タン、ハツ、なんこつ、小袋、ガツ、トロ、シロがあり、いずれも九〇円と安い。もつ煮(三二〇円)は、野菜がたくさん入り、やや濃いめの味付けで、なかなか美味しい。ホッピーは三八〇円で、九種類あるサワー類と同じ価格設定。中お代わりは二五〇円。田無に同名の姉妹店があり、同系列の店としては府中に「あなご屋」、高円寺に「焼貝あぶさん」があるとのこと。高円寺には、ぜひ行ってみたいものだ。(2007.11.29)